恭弥さんの日記

徒然なるままに好きなことを綴っていく

彼氏がいるので、は最強のカードだ。

私は小さい。縦に。物理的に。そして黒髪と幼い顔立ちをしている。いわゆる童顔というやつだ。
これはとある層の日本人男性に需要のある特徴であると、ある程度は理解している。
そういうわけだから街を歩けば男性に声を掛けられることは多くて、なんならあれこれ誘われるので少し色目を使えば多少貢がせることも出来る。
これをモテると言うなら私はきっととてつもなくモテるんだと思う。
確かにすぐに声は掛けられるし、相手をある程度思い通りに私に貢がすこともできる。しかしそもそも街を歩くだけで無駄な男に声を掛けられるだなんて、これは生きていく上でのハンデにも等しい。
なんならすぐに落とせる女に見られ侮られる。そうして全くモテない人からは「俺でもイケそう」と思われて上から目線で「俺にしとけよ」なんて言われるし、モテる人からは「俺なら当然イケる」と思われるから、断ったときに暴言を吐かれることもある。こんなの鳥肌しか立たない。
こんなのをモテとはいえない。

すべてはこの見た目のせいだ。髪を金にしてもピンクにしても赤にしても、どれ一つとして警戒色には成り得なかった。
ロリータに身を包んでいれば回避できるのでは、と思って普段の服装からゴリゴリのロリータに身を包んでいた頃もあったけれど、それも無意味で、特出したファッションでもってしても、私に声をかけてくる男は減らない。
最近気づいたのは唯一着物を着ているときだけは、ほとんどナンパされない。それでもほとんど、なので普通に声を掛けてくる猛者はいるけれども。

しかも学生時代には同じヒト亜族の雌というものに分類された生物に、ぶりっ子と陰口を叩かれビッチとあだ名をつけられていた。というかぶりっ子とかビッチとか陰口叩くくらい羨ましいなら、いっそのこと私と代わってくれ。私も好きで声をかけられているわけではない。いくらでも代わるし手伝うから。私の代わりに声を掛けられてくれ。お願い、後生だから。

そんな私が手にした唯一にして最強のカードは私の恋人だ。

なぜこんなに声を掛けられ侮られるのか。答えは簡単で、私みたいな見た目の女はきっと支配欲を擽られるのだと思う。
めっちゃ可愛いというわけではないけど、連れて歩くのに恥ずかしくない顔面と服装。アクセサリーとして一応の合格点はある。そのくせ自分が嫌いで自信がないので、自分を可愛いとは思えないし、何をするにも不安げなので、「俺がいないとな」と思わせてしまうのだろう。なんなら男性に求められたら喜んで従順になりそうといいうか、口答えをしないような女に見えるらしい。だから告白を断って暴言を吐かれるのだ。
しかも付き合ったら付き合ったで見た目と違った、想像と違ったと言って振られてしまう。訳が分からない。勝手に大和撫子や深窓の令嬢のようなイメージを抱かないでほしい。
そして最近気づいた。こういうふざけたことをいう男性は、私みたいな女が思い通りにならない時にとてつもなく攻撃的になることを。だから私はよく知らない男性からの良くわからない好意は嬉しくないし、普通に怖い。

そんな私が男性に声をかけられたときに、一番安全な断り文句は「彼氏がいるので」なのだ。それでもちょっとくらい大丈夫とか言い出すやつは、頭大丈夫か本気で心配になる。ちょっとだけ先っちょだけ、そういう男性には左手薬指の指輪も見せて、控えめに惚気も聞かせる。ただそれだけで相手はそっと離れていく。
私がただの私であるうちは何を言っても拒否しても私を格下に見る男性が、私に貼られた恋人のシールを見たとたんにすぐに身を引く。それは私の背後には、私にそういうことしたら不快になる男性がいると理解するからだ。

ああ。私にビッチだと言い続けた、当時恋人いない歴=年齢だった喪女は、今どうしているのでしょうね。彼女が穴モテだとかせずに、すごく健康的な感じで好きな男の人と好きに付き合って、好きじゃなくなったら別れる、そういう付き合いができていたらとてもいいね。

嘘。

私が傷ついた分、すぐにでも傷ついてほしいです。おしまい。