恭弥さんの日記

徒然なるままに好きなことを綴っていく

セックスは存在しない、でもセックスは売れる。

セックスは売れる。そう思うのは、きっと私が女だからだ。稼げる/稼げないは別として、少なくともそれなりにそれなりの価値が付く。

私が育った世界は男性が無条件に下駄を履いていて、なぜか私や私の友人たちは急におじさんにぶつかられたり痴漢されたり暴言を浴びせられる確率が高くて、女性が常に性欲の対象となってしまうような場所だったので、セックスは売れることを世界の真理のように受け入れていた。まぁそれ日本っていう国ですけど。

私は三国無双が好きだったが、ゲームですら女性キャラの肌の露出がある。女性のキャラはなぜか薄着だったり足が出ていてとても弱そう、、、とか思っていた。男性キャラはごつい鎧を身にまとっているのになぜ。女性のキャラクターを作ったのならそれがいくら真面目なキャラクターでも性的に消費されることは想定すべきなのかしら。

映画やドラマに出てくる女性は若くてとってもセクシーな役回りで、性的な魅力に溢れたようなキャラクターとして作られている。AVでもなんでもないものに「おっぱい」「全裸」とかいうタイトルの付いた映像コンテンツも存在している。私はいつのころからかそういった要素を含むドラマをあまり見なくなった。面白いと思えない。代わりに女性が性的な立ち回りをしないようなものか海外ドラマを見るようになった。その中でもLの世界とメンタリストとクリミナルマインドは最高に楽しい。

でも私はこれらをすべてセックスが売れるからだと信じていた。女性を出すなら性的に。そして魅力的に。だからドラマで女性が強姦されるシーンが多かったりするのだろうとか、女性のシーンだけ薄着で体のラインを強調するような恰好だったり下着姿だったり、シャワーシーンなど服すら着ていないのも多くて当たり前なのだろうと思っていた。もちろん女性は現実世界でも痴漢や強姦の恐怖に曝され、タクシーのおじさんに怖い思いさせられたり道端でおじさんに急にぶつかられたり蹴られたり押されたり罵声を浴びせられたりなんなら売ってもいないのに「君いくら?」なんて聞かれたりしながら暮らしていて、しかしそれは仕方ないと思っていた。旅行に行った東京で、電車を降りた瞬間に東京駅で見知らぬおじさんにわざとぶつかられてキャリーバッグを蹴られ押され、罵声を浴びせられてとても不快な思いをしたのも仕方ない、と。

しかし最近気づいたのだが、これらはセックスではなくただの性欲の発散だ。本来セックスというのは、2人の間で行われるコミュニケーションのことを言う。それに気づいたのは、今の恋人が、私が両親に宝物のように死ぬほど過保護に育てられた人間であると知っていて、彼も私をそういう風に大事にしたいと思ってくれているからだ。またセックスの際に、びっくりするぐらい理知的で心配性で優しかったからというのもある。なんとセックスの最中に、仕事の話とか家族の話とか普通にできる。こんな人間いるのかとちょっとびっくりした。そして彼はセックスの強要はしないし、いつでも私を宝物のように扱う。ストーカーがいる話をしても抱きしめて怖かったねと声をかけ、私よりも悲しんで怒ってくれた。元カレたちとは大違いだ。

現代日本でセックスは見つけづらい。探しても探しても見つからないのでは?と思うほどにセックスは存在していない。どうしてだろう。

答えは簡単で、男性はセックスが怖いから。セックスから逃れるために、性的消費に走っていくのだと思う。誰だって怖いものからは逃げたい。だから娯楽作品からはセックスが意図的に抜け落ちていくのだ。そしてますます性的消費にのめりこんでいく。逆に言えば、性的消費にのめりこみ病的な依存を加速させればさせるほど、セックスが怖くなっていくのかもしれない。セックスは娯楽と違ってリアルだから。

そしてAV業界や風俗業界は(今回は幅広く、接待飲食等営業と性風俗関連特殊営業の両方を含めて使用しています。)その恐怖を逆手に取って、繁栄している。

ビジネスの世界では、消費者のコンプレックスにどれだけ付け込めるかが売り上げに繋がっていく。だからダイエットサプリの販売会社は、消費者をデブだと思いこませようとする。スピリチュアルな分野では、精神的な問題があると信じ込ませたりもする。

それと同じでAVも、男性はもっと加害的でいい、女性を支配すべきだと言わんばかりの演出を行う。でも当たり前だけど、借金のカタに身体を売る人妻も、出会って数秒で合体も、基本的にどこにもない。AVみたいなセックスなんて現実にあるわけないのだ。それなのにこうあるべき、女性は自分の前でひれ伏せるべきだなんて思うから、どんどんセックスは遠くなっていく。

女性はおもちゃではない。もちろん奴隷でもない。急にぶつかられたり痴漢されたりしていい存在ではないし、売ってもいないのに勝手に値踏みされるなんて以ての外だ。女性に下駄を履かせてもらわなければ生きていけないと言うのならば。女性のことを一人の人間として認識できないのならば。永遠にパートナーとセックスをする権利はないと思う。

特に日本では時々、強姦は合法とか性的合意がわからないとか言う人間がいるけれど、そもそも「付き合っている相手に強引にセックスを迫ることが凶悪」で、「恐ろしく相手を傷つけるし、場合によっては逮捕される犯罪にもなり得る」ことだってわからないのなら、もう誰にも触れるな。一人で自主練してな、と私は思うのです。