恭弥さんの日記

徒然なるままに好きなことを綴っていく

小さな愛を抱く。

 ぴぎょぎょぎょぎょぎょぎょ。私専用のくそ煩い目覚ましが鳴く。薄らぼんやりと目を開けると、そこには美しい青が広がっていた。嗚呼、朝か。ぼんやりと目が覚める。
 最近は冬を思う。少し前ならもっと青が近くて強烈で、夏の色をしていた。それにこんなに日が高いと暑くて仕方なかった。今では少し遠くで、青が淡く優しく笑っている。薄い色だなんて思いながら起き上がって、ぼんやりと空を見上げる時間が割と好きだ。鳥もきちんと冬毛を纏っていて、少し前までは抜け毛が多かった。今も時々羽毛が抜けていて、そうして抜けた羽を時々持ってきていただけるのだが、恭しく受け取るそれらからはほんのりひと夏の香りがする。
 去年の夏、お盆当たりに鳥が卵を産んだ。無精卵だ。パートナーは私。鳥は雌。私も雌。それでも鳥は私が大好きなのだそうだ。私が恋人と話をしようものならものすごく機嫌が悪くなって八つ当たりされる。ごめんて。可愛いなこんちくしょう。
 ちなみに産んだ卵は抱卵の下手糞なひなぴよちゃんが割ってしまった。けれども割った本鳥は割と元気そうで安心した。むしろ飼い主の私が泣いた。はは。立派に卵を産むようになってしまった。鳥が、大人になっていく。
 つい先日は私の恋人に対しても、好意的な態度で近づいてくれた。指先に止まって少しうとうととお昼寝を楽しむ様子も見られて、彼女の成長が微笑ましい。私にご飯頂戴と鳴いて甘えて頼りない体で飛び回っていた鳥が、いろんなものを受け容れて、穏やかに、強かになっていく。寂しい。嬉しい。いろんな気持ちが綯交ぜになっている。
 あといくつ、この子のいる季節を過ごしていけるのだろう。あと何度、この子を健康に、何事もなく育ててゆけるだろうか。そう思いながら、卵対策を立てるわけだけど、すぐに失敗して、そうして最近また卵を産んだかわいこちゃんは、一生懸命抱卵しながら私に愛を乞う。普段はしないのに、甘えて頬ずりをして、あちこち撫でまわされてくれる。ああ可愛い。愛を抱く生活だ。もう一生これが続きますようにと願っている。